【第2回】冒険する熱波師への道
どうも、”アドベンチャー熱波師(見習い)”のたけぷーです。
7月の梅雨明けから夏の暑さに負けていて、出不精になりがちです。
先日、暑さの中でランニングをしたのですが、やっぱりバテてしまいました。
もっとサウナに通って暑さ慣れをする必要があることを痛感した出来事でした。
今回は、私が参加した一番距離の長かったマラソン大会の話です。
長いマラソン大会
「マラソン」という言葉を聞いてどんな印象を思い浮かべますか?
「キツい」「ツライ」「疲れる」などなどあるかと思います。
では「マラソン」と聞いたら、どのくらいの距離を思い浮かべますか?
「5キロ」「10キロ」「42.195キロ」などですね。
42.195キロのマラソンを「フルマラソン」といいます。
東京マラソンやハワイのホノルルマラソンなどがフルマラソンです。
しかし、マラソンにはそれ以上の距離の大会がたくさんあります。
フルマラソンより長い距離を走るマラソンを「ウルトラマラソン」といいます。
70キロだったり100キロだったりと距離はいろいろです。
某テレビ局の24時間チャリティマラソンは70キロくらい走ったりするので、ウルトラマラソンです。
そんなウルトラマラソンで国内最長距離の大会が520キロです。(今は514キロ)。
その大会は、「川の道フットレース」という名前の大会で、スタートが東京都葛西臨海公園、ゴールが新潟県信濃川河口となります。
制限時間は、なんと132時間。5日+12時間です。
なぜ川の道という名前なのか。
それはこの大会のコースが2本の川をつないだものになっているからです。
1本が荒川、もう1本が信濃川(長野県では千曲川)。
スタートの葛西臨海公園は荒川の河口で、そこから上流に向けて走っていき秩父の山を越えると、こんどは信濃川が始まります。
そして信濃川を下っていくとゴールの信濃川河口となるわけです。
自分との戦い
フルマラソンだと、いかにもランナーって感じで比較的細身な人を想像するかと思います。
では、こんな長い距離の大会にはどんな人が参加するのでしょうか。
私が参加したときに感じた印象は普通の中年の方々が多いって感じでした。
確かに細身の人もいますが、中肉中背って感じの人も多いです。
たぶん、街で見てもウルトラマラソンを走るようには見えない、いたって普通の人たちでした。
あえて言うなら、日に焼けて黒い人が多いです(笑)
私は川の道フットレース2回参加して、2回とも完走することができました。
そしてよく、「走っているときって、何を考えていましたか?」と聞かれることがあります。
520キロという長距離、そして132時間という長時間。
私が走っているときに考えていること、それは「やめようかな」です(笑)。
たぶんウルトラマラソンの走っている時間の90%くらいは、「いつやめようかな」といったことを考えています。
当然、その考えに従ってしまうとリタイアになってしまいます。
そのため、走っている間、そんなやめたい自分と、ゴールに向けて続けたい自分との戦いがずーーっと、繰り広げられます。
確かに、いい景色や美味しい食べ物なども考えます。
でも、ほとんどは「やめようかな」です(笑)。
「そんなに嫌なら、リタイアしちゃえばいいじゃん」って思うかもしれません。
でもリタイアしないんです。
だってリタイアすると悔しいじゃないですか。
「他の人は苦しいけど、まだまだ走っている。」
そう考えると、「なぜ自分はリタイアしてしまったのか。もっと走れたのではないか。」と考えてしまうんです。
だから、やめたいけどやめずに走ります。
そして、そんな自分に打ちかってゴールした瞬間の達成感はたまりません。
その瞬間のために走っていると言ってもいいくらいです。
そして、長かった自分との戦いのツラさを忘れてしまい、「また参加したいなぁ」という気持ちになってしまうんです。
ウルトラランナーって中毒ですね(笑)
レース中でも寝る
川の道フットレースという大会、520kmとものすごく長いです。
一度スタートするとゴールまで、時間計測が止まることはありません。
走っている時間、止まっている時間、ご飯を食べている時間、寝ている時間すべてがレース中の時間となります。
サラッと「寝ている時間」と書きましたが、5日間以上走るので、寝ないで走ることは不可能です。
そのため、眠くなったら5~15分という短時間、寝ることがあります。
公園のベンチや深夜のバス停、コンビニの駐車場の端など、人目に付きにくい場所でサッと寝ます。
横になれるところなら、ある意味どこでもOKです。
寝る場所は固いほうがGood。
なぜかというと、寝る場所が固いと身体が痛くて起きます。
つまり寝過ごすことが少なくなるからです。
気持ちよく眠れる環境では、寝すぎてしまうのでダメなんです(笑)
お風呂の魔力
そんな大会ですが、ゴールまでに3ヶ所のレストポイントと呼ばれる公式の休憩所があります。
それぞれ150、260、390キロ地点あたりにあります。
そこでは、食事と睡眠、そしてお風呂に入ることができます。
この「お風呂に入れる」というところがポイントなんです。
疲労困憊でレストポイントに到着したときには、「もうここでリタイア」しようと思って到着することが多いです。
そんな気持ちのときに、お風呂に入ると、「もう少し頑張ってみよう」という気持ちが湧いてきます。
さらに、お風呂でお湯と水風呂(水シャワー)を交互に入る温冷交代浴をすれば、心身共にリフレッシュ。
入浴後に、食事と睡眠を取れば、ものすごく回復して、再び気持ちも新たにゴールに向けて走り出すことができます。
私自身、レストポイントのお風呂には何度も救われました。
今でも、「お風呂がなかったら、完走できなかったのではないか」と思うことがあります。
ゴールはスーパー銭湯(だった)
この川の道フットレースのゴールは新潟県の信濃川河口付近です。
東京から走ってきて6日目くらいに信濃川河口に到着します。
そこは、通称「川の道岬」と呼ばれていて、目の前には日本海が広がっています。
東京湾(もはや太平洋)から日本海まで「日本を横断したんだなぁ」という実感がふつふつと湧いてきます。
でも、実はゴールはそこではありません。
そこから、さらに3キロほどいったスーパー銭湯がゴールになります。
スーパー銭湯をゴールにしてくれるあたりは、主催者の配慮がうかがえます。
選手としてゴールしたらまず何をしたいか?そう考えるとやっぱり「風呂」「ご飯」「睡眠」なんです。
その3つをすべてかなえてくれるのが、まさに“スーパー銭湯”。
ゴールしたら大きなお風呂に入ってレースの疲れを癒し、入浴後におなか一杯ご飯を食べて、ビールを飲んで、そして仮眠室で寝る。
最高のひとときです。
何日間も走ってきた後なので、「もう走らなくてもいいんだ」っていうことを強く実感します。
そして、寝た後に「そろそろ帰るかな」と起き上がろうとすると、だいたい足が棒のようになって動きません(笑)
疲労と筋肉痛などで足が思うように動かず、歩くのも大変になります。
そこから数日間は筋肉痛との戦いになります(笑)
(残念ながらこのゴールのスーパー銭湯は2020年に営業をやめてしまったため、次回はどこがゴールになるのか未定です。)
今回は、私が参加した日本最長のマラソン大会をご紹介しました。
マラソン大会なのにお風呂に入って、寝るという、他のマラソン大会とは、まったく違った大会です。
今までと違ったマラソンの世界を少しでも知ってもらえたら嬉しいです。
私は、このような長距離・長時間の国内外の大会に参加しています。
次回もみなさんがあまり接することがないスポーツの世界をご紹介します。
それでは、また。
[たけぷー。プロフィール]
本名、武井正幸。
アドベンチャーレーサー、ウルトラランナー。
普通の会社員をしながらアドベンチャーレースやウルトラマラソンに挑戦中。
アドベンチャーレースにおいては国内で優勝入賞多数。海外レースにも積極的に参加している。ウルトラランナーとしては国内最長のマラソン大会、川の道フットレース520kmを2回完走。
Twitter: @takepu_zakki
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