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【熟成兄弟の SAYMEAT ※まよったら、とりあえず肉って言っとけ/第3回】ホトリニテの店主、高村直喜という男について

「これはマズい。どうしよう。」

2020年5月30日のサウナバザールへの出展が決まったものの、熟成兄弟はサウナ×熟成肉を体験したことがありませんでした。

 

サウナバザールとは、コロナ自粛期間中に2回だけ行われたオンラインイベントです。

参加者は全国のサウナ施設運営者等と気軽に会話できました。

*サウナーにとっては、もはや伝説的イベント。

 

自分たちでサウナ×熟成肉を体験していないのに、サウナ中に熟成肉を食べることの良さは伝えられません。

説明するときの熱量が弱くなるのであります。

サウナ×熟成肉のアドバイスをくれた五味醤油の社長に、サウナバザールまでに、アウトドアサウナに連れて行ってもらえないか懇願しました。

そのとき、五味社長が連れて行ってくれたのがホトリニテでした。

 

ホトリニテの店主、高村さんとの出会いは、急遽企画されたサウナがきっかけでありました。

後で知ることになりますが、五味社長という人は、山梨では知る人ぞ知る人脈お化けでして、要するに人と人を繋げる天才なのであります。

このような縁がきっかけで、高村さんと仕事を始めることになりました。

記念すべき、熟成兄弟の初受注案件でありました。

高村さんとホトリニテという宿と組めるなら、本当に世界一の熟成体験を提供できると感じました。

 

自分の人生を振り返ると、世界一を目指せるスタートラインに立ったのは、サッカーのワールドカップで優勝することを目指していた小学生のとき以来であります。

表現が非常に難しいのですが、勝負している感覚を取り戻した感覚です。

ホトリニテを初めて訪れたとき、非常に居心地が良く、気持ち良かったことを覚えています。

これは宿を訪れた人が全員感じていることだと思います。

でも、あの居心地と気持ち良さの正体はいったい何なのか?

 

旧ホトリニテ(当時は山中湖で運営)は、トリップアドバイザーのランキングで「おもてなしランキング世界2位、アジアでは1位」という日本の宿泊施設では異例の快挙を達成していることも知りました。

富士山という観光名所を要するホテル激戦区の山梨で、おもてなし宿ランキングで5年連続1位という快挙も。

これは、僕たちだけでなく、世界中の人々がホトリニテの居心地の良さや気持ちよさを体験したという証拠でもあります。

高村さんは、旧ホトリニテ(山中湖)を閉じて、2020年から乙女湖の畔で、新たにホトリニテ(乙女湖)をスタートされました。

高村さんと一緒に仕事をし、多くのことをお話しさせて頂く中で、「居心地と気持ち良さ」の正体を知ることになります。

 

神は細部に宿るとは、まさにです。

少し信じられない話ではありますが、高村さんの仕事をお話しましょう。

高村さんは、見えないところまで掃除されます。

目に見えるところの掃除をされる方は多いと思います。

目に見えないところというのは、障子の桟、姿見の全ての引き出し、押入れの扉、etc… ここまでなら、分かります。

高村さんは、空気まで掃除されるのです。

 

高村さんは、掃除で舞った埃を送風機で外に飛ばされます。

高村さん曰く、「空気にも賞味期限があるんだよね。一日たったら必ず空気を入れ替えるよ。宿にとって空気を整えることが1番大事だということがわかったんだよね」と笑顔で言われます。

 

ホトリニテの物件は、新築ではないのですが、匂いがなく、裸足で歩きたくなるような独特の清潔感があります。

この清潔感の正体は、目に見えないところまで掃除することによって生み出される整った空気なのであります。

 

空気まで整える高村さんですが、宿業を始めた頃は、見えるところをサッと掃除するだけだったそうです。

「世界一といわれる旅館に泊まりにいったときに、空気そのものが違ったことに気づいたんだよね。それは掃除が作り出していると気がついたよ」

また、「おもてなしランキング世界2位になったのには、理由があるんだよね」、と教えてくれました。

 

高村さんは元DJでカナダにDJ武者修行に行ったこともあり、英語が話せます。

*このDJ武者修行、英語が全く話せない状態で異世界に飛び込んで何とかするスタイルは僕に似ていると思いました。

宿泊に来たお客さんには、20分程度かけて宿の説明をされます。

特に外国人の方は、その丁寧な説明を有り難がったそうです。

ほかの宿ではそこまで丁寧に説明を受けることはありませんから。

 

そして、宿の前後のケアまで徹底的にされていたそうです。

行きたい場所を聞いて、予約をしてあげたり、食べられないものを聞いてお勧めのレストランを紹介してあげたり、日本で何かトラブルがあったら電話ちょうだい」と名刺を渡したり、もうきりがありません。

 

これだけ相手想いのおもてなしができるのは、高村さん自身が色々な方に親切にしてもらったからだと言います。

高村さんもバックパッカーとして、色々な所を旅行し、旅先で人に親切にされたからこそ、旅行中にされて嬉しいことは何かということを熟知されています。

見えないところまで整える掃除、自分がされて嬉しかったことをお返ししたいという気持ちが、ホトリニテがおもてなしランキング世界2位に選ばれた理由だと考えるのであります。

 

高村さんの掃除に焦点を宛てましたが、高村さんはアートにも造詣が深い方です。

宿に飾られている作品も、高村さんが選ばれた作品の数々です。

まだ、世間では知られていない芸術家の作品も多くあり、ホトリニテの成長とともに、宿の作品の価値も上がると僕は見ています。

 

高村さん曰く、やりたいことの30%ぐらいしか実現できていないとのことです。

ホトリニテは、季節や時間経過によって印象がガラッと変わる宿でもあるのです。

 

有難いことに、宿に宿泊されたお客さんの中には、その場で次の予約をしてくださる方もいらっしゃいます。

目の前で予約されているのを見て、やっぱスゲェな、、、としみじみ感じることが多々あります。

 

最後に、高村さんのシビれたセリフをご紹介させて頂きます。

 

おかげさまで、ホトリニテは毎月予約でいっぱいになってきています。

嬉しい反面、宿の運営は、課題やトラブルの連続です。

どんな事業であれ新しく始めたサービスではトラブルの連続であります。。

 

夫婦2人で切り盛りしており、色々なことを考慮した結果、新規予約の受付をストップし、一度仕切り直すことになりました。

*宿の設備のバージョンアップ、安全面の配慮や運営の仕組みを再構築するための充電期間となります。

恐らく11月頃から予約受付を再開できるのではないでしょうか。

 

宿をオープンして、これからというときの大トラブル中。

ショートメッセージでやりとりしている際の、高村さんの言葉がこれです。

 

「毎日、崖っぷち。だけど楽しいじゃんね笑 まぁ、なんでもなんとかなるよ。藤原さんも色々とあると思うけど、体は気をつけてね。」

同じ男として、痺れました。

本当に大変なときに、こういう言葉が出てくるには、常日頃からの心構えや人生で訪れる苦難に対する姿勢みたいなものが大きく反映されると思うのであります。

 

見えないものを整え、世界最高のホスピタリティに加えて、男前な心構えと姿勢、これが高村直喜という男の正体です。

そんなオットコマエな高村さんが、惚れこんだ場所、山梨県乙女湖の畔に佇むホトリニテ。

2033年に閉館が決まっている宿ホトリニテ。

人生で一度訪れてみてはいかがでしょうか。

いや、訪れるしかないのであります。

 

 

[熟成兄弟プロフィール]
<藤原 佑太>

1985年生まれ。奈良県北葛城郡王寺町出身。

一浪を経て大阪大学へ入学するも、理系は向いていないことを悟り中退。英語力ゼロ状態でアメリカ留学を決意。UCSB(カリフォルニア大学サンタバーバラ校)を卒業。

2011年太陽工業(株)に営業として入社。定温資材(小口配達用の保冷ボックス、氷温熟成、雪室)の部署で仕入れから営業(新規開拓と既存ルート営業)までの業務を学ぶ。バンコクに3年駐在し、海外新規開拓営業を行う。波多野と出会う。

 

<波多野 嵩士>

1984年生まれ。神奈川県横浜市出身。

尚美大学卒業後、雑誌編集者を志すもエントリーシートの時点で全て撃沈。バイト先メンターの「ITバブルに乗っかれ」とのアドバイスを真に受けて、IT系上場企業へ入社。プログラマーと営業を3年経験し、中国大連へブリッジSEとして3年駐在。その後、現地営業責任者としてバンコクで6年駐在し、事業所の立ち上げを経験。また立ち上げ3年で単年度黒字化を達成。藤原と出会う。

 

Twitter: 熟成兄弟/YUTA

Instagram: jukuseikyodai

note: 熟成兄弟

HP:http://jukuseikyodai.com/