【KGN機械室日記#80】若き隊員、銭湯復活への道②
前号に続き、東京浴場の再生オープンに迫ります。
こちらのシンボリックなアイテムと言えば「樽水風呂」!
浴室スペースでバラエティ感を出す工夫が溢れています。
「限られた予算」「壷湯の贅沢式」「まろやかな原水を活かす」という 3点から導かれたこの樽水風呂は、完全オリジナルで開発されました。
1つ90kgもあるブランデー樽は深さ85cmで ざぶんと潜れてしまうサイズです。
中古で仕入れ、研磨した樽にアクリル製の塗料を 塗っては乾かしを艶が出るまで繰り返します。
一方、洗い場では20コ近い不要なカランを 取り外し、樽水風呂を設置する場所を確保します。
ウッドデッキ風な土台を組んでいき、 樽が収められていきます。
給排水も工夫しながら敷設していき、補給水の吐出管にはシュロ縄を巻いて丁寧に化粧していきます。
樽にマッチしてとても素敵な仕上がりです。
すっぽり全身を包む樽水風呂は、 あつ湯との交互浴がオススメ!
非常にまろやかな原水のかけ流しを贅沢に 味わえるのでぜひお試しください。
オープンに向けては、お客様の目に 届かないところでの苦労も多くありました。
地中に無数に張り巡らされた配管やポンプ などの設備は、どこで操作しどこに繋がって いるかを、ひとつひとつ手探りで解明!
珪藻土ろ過器のプレコートや、地下水の洗浄バランスの見極め、薪&廃油の ボイラー操作、各所で起きる水漏れ対処など、書ききれないほどの見えない敵を 手探りで攻略する日々だったようです。
機械室内も拝見しましたが、「よくこれを解明したな!」と唸ってしまう迷宮でしたので、 その苦労は相当なものだったと察します。
カランや鏡も状態を整え、浴室内の目地や コーキングなども自分たちで補修、 ひとつひとつに思いを込め、苦労が詰まった 東京浴場の再生は、オープンしてからも格闘が 続くのですがここで文字数オーバー。
次号に続く!
東京浴場 @245tokyoyokujo
駅徒歩1分 目黒線「西小山駅」の風呂屋、2020年7月19日ドタバタリニューアルオープン!
東京の街で、変幻自在に時代を生き抜いていく、そんなお風呂屋さんになりたくて。
●営業時間:朝風呂5:00〜8:00、昼2:00〜深夜2:00
●定休日:火曜日(火祝日の場合翌平日に振替休業)東京都品川区小山6丁目7-2
[オフロ保安庁長官 久下沼伊織 プロフィール]
温浴業界ナンバーワンの機械室テクニシャン。配管・バルブ・ろ過機等の
温浴配管愛に満ちている。生きる楽しみは「食う・寝る・(風呂に)浸かる」。
■ 2005年 大手フードチェーンを退職後、株式会社ミュー温浴事業部に入社。2か月で店長に。
■ 2010年 株式会社ミュー 統括支配人に就任し同社アミューズメント事業部を兼任。
■ 2012年 オフロ保安庁長官に就任。
■ 2013年 株式会社ミュー 取締役統括支配人に就任。
KGN@オフロ保安庁長官【farmer】