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【第2回】小林三貴子のikiヒーターに焦がれて

高校生の時、市の親善使節団としてロシアのハバロフスクに行きました。
キャンプ地には、バーニャ(サウナ)があり、ビフィタによるウィスキングを受けました。
これが、私のサウナにハマるきっかけです・・・なんて言ったらかっこいいのでしょうが、違います(笑)
正直、当時は気持ち良さを感じたというよりは、「なんだ!?この屈辱的にバシバシ叩かれる感じは!?」と驚き、サウナの後も、横にある茶色い川に入りながら、内心、こんなのがお風呂代わりじゃ綺麗になったんだか分からないな!さすが異文化交流!くらいにしか思いませんでした。
白樺の香りも全く覚えていません。
むしろ、おふろの国でロウリュウにハマってから、いろんなサウナ情報を目の当たりにし、自分が本場でサウナに入ったことがあることを思い出したのでした。
今思うと、もっと真剣に受ければよかったのに・・・と思います。
 
 
おふろの国で、熱波師検定をとり、繋がりができたことから、検定講師の井上さんが天然温泉平和島に熱波師として来て下さることになりました。
小林 三貴子
初めて井上さんが来た日のことは、今でも強烈に覚えています。
それまで、当館のロウリュウは基本の桶を1杯用意してロウリュウに行きます。
まず、2~3杯程アロマ水をかけ、お客様を3回仰ぐ。
これを3セット繰り返していきます。
3セット目にちょうどバケツの水が無くなります。
ところが・・・井上さんはバケツを3杯用意して欲しい!とおっしゃいました。
それまでバケツ1杯でやっていたのですから、驚きです。
しかも井上さんは、そのバケツ3杯を1セットですべて使用します。
井上さんのロウリュウは、トーク15分、ロウリュウ3分、熱波6分くらいの流れです。
トークでしっかり温まった体に、激熱の蒸気をまとわせ蒸気が静かに降りてくるのを眺めたあとに、一気に108回仰ぎます。
トークの長さと、灼熱の中108回も腕を上下に動かす体力に、衝撃を受けました。
熱さも、仰ぎもすべて限界を超えました。
井上さんのおかげで、ロウリュウに対するリミットが開放されました。
それまでは正直、どこまで水をかけ続けてよいかわからなかったのですが、その時のサウナのコンディションに合わせて、水を差していくことを学び、井上さんが来てから、さまざまなロウリュウのイベントを考えるようになりました。
それが、今でもイベントに残っているアロマ水2倍です。
私は、井上さんのロウリュウで気付いたことが2つあります。
1つ目は、自分は結構長くサウナの中にいられるということです。
最初、井上さんのトークを聞いたときは、面白くて、10分以上時間がたっていることに驚きました。
いつの間にか10分たっていたという印象でした。
まさか、トータルで20分もサウナの中にいられるなんて思ってもみませんでした。
いつもであれば、ロウリュウを初めて終わるまでが13分くらいだったので、まさかそんなに長く自分がサウナの中に入っていられると思いませんでした。
2つ目は、意外と熱さに強いということです。
私は、運動能力も、体力も平凡で、筋力もありません。
ぽっちゃりしています。
でもたまたまサウナ仕事に向いているようです。
井上さんと出会ってから、しばらくは熱さを追及するようになりました。
お客様の期待もどんどん増して、もっと熱くてもいいと言う声が多くありました。
この頃は、10杯かけたりしたこともありました。
ところが、だんだんと「ただ熱いだけ」では辛いという声も聞こえてきました。
私には、井上さんのようなトーク力がないのです。
井上さんのロウリュウにおけるトークは、ものすごく重要な要素になります。
お風呂に入る前の、かけ湯のような感じです。
いきなり熱いお湯に入るのは、熱くて抵抗があります。まずかけ湯をして、体を慣らしてから入りますよね?
井上さんのロウリュウも、とても熱いですが、トーク10分の間に、しっかり汗をかいて、しっかり体が温まるので、体が熱さに慣れて激熱も気持ちよく感じることが出来ます。
私には、決定的に足りないトーク力・・・
大好きなロウリュウをやりつつも、より進化していくにはどうしたら良いだろう???と思っていた頃、夢みたい話が飛び込んできました。
テレビドラマ「サ道」の年末特番内CMに熱波師として出演してほしいという依頼でした。
小林 三貴子
このCMには、井上さん、渡辺さん、マグ万平さん、オルカ宇藤さん、箸休めサトシさん、ドラゴン相澤さんと出演することになりました。全員とてもすごい熱波師で、十人十色の技を持っています。
撮影とはいえ、仰ぎ方の違いに圧倒されました。
私は、ローリングスチームウィンドをやらせていただきましたが、命名はCMスタッフの方です。
この仰ぎ方は、実はインスパイアOFR48のんさんです。
のんさんのダイナミックな仰ぎを拝見したときに、女子でもこんな風にタオルをまわせるのだと、尊敬しました。
この経験を通して、著名熱波師の方と繋がりが出来、いろいろなプロ熱波師の方がいるのだと知りました。
また、井上さんの薦めでTwitterを始めました。
Twitterには、さまざまなサウナ情報があふれていて、サウナ知識とサウナ繋がりがどんどん増えました。
そして、運命的な出会いをします。
それは、女性プロ熱波師レジェンドゆうさんです。
小林 三貴子
プロ熱波師である、レジェンドゆうさんが私のロウリュウを受けに来てくれたのです。
のちに、レジェンドゆうさんは、天然温泉平和島でイベントをやってくれるのですが、これまた目から鱗が落ちました。
レジェンドゆうさんは、熱波師でもありながら、アウフギーサーでもあります。
小林 三貴子
アウフグースとは、ドイツのサウナ文化です。
もともとフィンランドのロウリュウに熱波はありません。
日本に入ってくるときに、日本人特有のいいとこどりによりドイツのアウフグースとMIXされ、熱波になりました。
ドイツのアウフグースにはタオル仰ぎの技が沢山あり、しっかり攪拌をします。
それまで私は、アロマ水をいかに沢山かけるかにばかり気を取られていました。
レジェンドゆうさんのロウリュウでは、バケツのアロマ水を1杯しか使用しません。
しかし、しっかりとした攪拌により、驚くほど汗をかくことが出来ます。
井上さんも、レジェンドゆうさんも、プロ熱波師の方々は驚くほど自分の技を惜しみなく教えようとしてくれます。
好きなことだから、人に教えたくなるのだろうと思います。
熱波師の方に会うたびに、新しい発見があります。
しかし、問題もあります。
それは見たから、知ったからと言って自分が実践出来るわけではないということです。
井上さんのトーク力も、レジェンドゆうさんのタオルさばきも、到底マネできるものではありません。
そして私は、考えます。
どうすれば、より良いロウリュウをやることが出来るのか・・・
その話は、また次回に。
 

[天然温泉平和島 副支配人 小林 三貴子]

永遠の37歳(サウナー)

Twitter @sauna07679562

Instagram  tennenonsenheiwajima

HP https://www.heiwajima-onsen.jp