【看護師のぞみの Heaven’s feeling/第6回】三助さんじゃ、ない
森喜朗東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長(御年83歳)が、女性蔑視発言で会長の職を辞したようですね
(眼鏡キラーン)
(つるシャキーン)
(裸眼の視力1.0/0.8なので眼鏡はしてないですが)
ちょっと政治に関心がありそうな発言したら頭良さそうに見えるのではないかと頭の悪いことを考えていました。訪問看護師ののぞみです、どうもこんばんは。
さて、上記の女性蔑視(と言われている)発言についてですが、ニュースで切り取られたことばにしか目を通していないものなので、実際にどういう意図で発せられた発言なのかはわかりません。ただ、やっぱりご高齢の男性の発言だなぁ、と思いました。……私のこの発言が問題発言のような気もしていますが。
訪問看護師のフィールドは利用者さんのご自宅です。ご自分ひとりで入浴することが難しい利用者さんの介助を行います。
ご高齢(だいたい昭和一桁台生まれくらい)(ちなみに森・元会長は昭和12年生まれとのこと)の男性の入浴介助は、なぜか少しだけ違和感を感じます。
「頭」
「はーい」
「背中」
「はーい」
「胸」
「洗えるところはご自分で洗ってくださいね」
タオルをボディソープでもこもこにしながら背中を流し終え、利用者さんにタオルを渡して思う。三助さんじゃ、ない。
女性を、看護師(まだまだ看護婦さんと呼ばれることも多いです)を、蔑視してるのか?と思うような態度をとられるようなこともしばしば。
三助さんという職業がある。あまり馴染みのない、今では絶滅(寸前)の職業だそう。
江戸時代ごろからある職業で、銭湯の釜焚きのための薪を集めてきたり下足の管理をしたりして見習いの期間を過ごし、お客さんの背中を流す『流し』というお仕事か出来るようになると三助と名乗れるようになるとWikipediaには書いてある。
今は新型コロナウイルス感染症への配慮からサービスを停止している施設がほとんどのようですが、現代でも関東近郊では三助サービスを受けることができる銭湯、スーパー銭湯もあるらしい。是非私も受けてみたいです。
私には、ひとに背中を流してもらった記憶がほぼない。
きっと幼い頃に母にからだを洗ってもらったことはあるんじゃないかと思うけど、はっきり言って覚えてはいない。だからひとに背中を流してもらう、からだを洗ってもらうことが気持ちが良いことなのかそうじゃないのかはイマイチ判断が出来ない。
そう言えばこれは完全に余談ですが、昔私が酷い皮膚炎になった折に、ゴシゴシタオル(……って呼んでるけど、お風呂場でからだを洗うタオルに正式名称はあるのでしょうか?)を使う文化が我が家から消えました。以来掌でボディソープを泡立てて使っています。
さて、看護師が利用者さんの背中を流すのは、往々にして利用者さんの手が届かないからです。
看護師の役割として重要な要素に、自立を促すことがあります。自分で出来ることは自分でやってもらう。
ひょっとしたら背中や、背中だけじゃなくて胸やお腹など自分で洗えるところを流すことは気持ちが良いことなのかもしれないけど、看護師という職業的には「洗えるところはご自分で洗ってくださいね」が正しいと考えています。
普段、というか居室で熱や血圧を測ってるときには丁寧な口調で接してくれる利用者さんが、なぜか浴室で裸になるとぶっきらぼうな口調になることが多いように感じます。
その違和感に、いつも少し悩ましい気持ちになってしまうのです。ひょっとしたら看護師に介助をされる、裸を見られることに対する羞恥心かもしれないけど。
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