【サウナのサチコ 裸の粘土サウナー/第3回】なに健は熱いうちに打て
書くことがない。
連載3回目にして、もう書くことが見つからなくなったサウナのサチコです。いや別にいつもnoteに書いているようなことを書けばいいじゃんと思うのですが。私にとってnoteとは井の頭公園でこっそり一人、歌っているようなもの。初めは池のカモたちに聴いてもらっていたのが、次は通りすがりの人たちに聴いてもらえるようになり、そして今では「歌うよ〜」と言えばわざわざ聴きに来てくれる人も増えた。そんな感じです。でも『日刊サウナ』は違う。たとえるなら東京ドーム。なんで武道館じゃないのかとか、細かいことは聞かないで。この東京ドームに出演するのは私だけじゃありません。もっと上手な人や経験のある人、すでに人気のある人もいます。そして何と言ってもここに訪れるお客さんは、「サウナが大好きな人」なんです。ここに立つからには、「今自分に出せる最高のものを」と思うわけですよ。
そんな東京ドームに持ち込むだけの話が思いつかない。記事にしたくて温浴施設に行くと大抵しくじります。面白いことなんて偶然遭遇するから面白いんであって、探して見つけるものではありません。その上、意識がそっちにあるとサウナを楽しめない。パソコンの前で「どうすっかな〜」と思いながら、月日だけが流れていきました。
そんなある日、おふろの国の店長、林さんから連絡がありました。
「なにわ健康ランド湯~トピアの元山さんが、近々こちらにいらっしゃいます」
なにわ健康ランドさんと言えば、私のインスタのフォロワーでもあり、私のファンであることを公言されています。私の粘土に触発されてご自身でも粘土サウナーを作られ、お店に飾っていらっしゃるほど。これは私のことが相当好きに決まってる。きっと私に会いたいに違いない。そこでなにわ健康ランドさんに直接メールしてみました。そしたら本当に会いたいと言ってくださって、そこからトントントンと話が進み・・・。とうとう私は温浴施設にお勤めのフォロワーさんと、直接お会いする機会を得たのです。場所はおふろの国。林店長はいつも絶妙なタイミングでいい話をくださる。よかったこれでいい記事が書けるぞ。いやそれを考えちゃうと欲が出て書けなくなる。無心で会おう。そうだ、粘土作って持って行こう。お店に飾ってもらえるかもしれないし。・・・ちっとも無心になれない。
大阪にある温浴施設、「なにわ健康ランド湯〜トピア」さんのことを、サウナーたちは「なに健」と呼ぶそうです。「なに健」と聞いたら私は、なぎら健壱さんくらいしか浮かばないのですが。その「なに健」さんが大阪では有名な温浴施設であることを、私は最近知りました。申し訳ありません。
なに健の元山さん。どんな人だろう。まず、ニコニコしたゴツいおじさんが頭に浮かびました。なぜなら私のインスタのフォロワーは、75%が男性だからです(半年前までは84%でした)。そしてそのほとんどが40代から50代半ば。世間的には「おじさん」と呼ばれる人たちです。ベテランサウナー=おじさんに好かれるということは、私の誇りでもあります。私はあの「サウナイキタイ」にも登録していないし、Twitterのアカウントも持っていません。しかもnoteのサ活記事は恐ろしく文章が長く、役に立つ情報は一切書いてありません。こんな私を支えてくださるのは、寛大なおじさんしかいない。自分でも納得しております。そして深く感謝しております。
さて。お会いする日が決まってから、私はなに健さんのホームページや、インスタの投稿写真をチェックしていました。手土産の粘土を作るためです。投稿で目につくのは館内着。これを着て自撮りする人がとても多い。なぜなら「ド派手」だから。目が痛くなるほどの真っ青な地に、ハイビスカスやらヤシの木やらヨットやらの夏の代表選手たちがこれでもかとプリントされています。昨今は落ち着いた館内着が多い印象ですが、その流れに反してこちらは個性がかなり強い。これを使おう。見てすぐに「なにわ健康ランド」だと分かるし。で、作ったのがこの記事のトップにある粘土です。
なんで大阪に○知事なんだよって、思うでしょ? 私も思います。でもこの人ほど、この館内着に負けない人はいないでしょう。これを着て囲み取材を受けて欲しいくらいです。我ながらいいのが出来ました。でも作ったのはこれだけじゃありませんよ。実はなにわ健康ランドにはオリジナルキャラクターがいます。これ。
ただ、どこを探してもこの子の全身写真がないんですよね〜。そもそもこれはリスなのか、ビーバーなのか。ちょっと悩みましたが私はリスと判断し、頭の部分を粘土で作ってみました。でもやはり胴体がないと怖いので、見知らぬリスの画像を参考にして体も作りました。こうして百合子とリス、二つの粘土が約束の日の前日に出来上がりました。プチプチに包んで、全く中身と関係のないラルフローレンの紙袋に入れて(ブランドの袋は捨てられない)準備する私。これでよし。ホッとしてなにわ健康ランドさんのインスタを覗くと、今日から出張ですと書いてあります。出張? お仕事でこっちにいらっしゃるの? もしかして林店長と仕事の打ち合わせなのでしょうか。その会議に私なんぞが参加してもいいのでしょうか。はっ、もしかして私はサウナー代表として呼ばれた? とすると会議では「何か温浴施設に求めることはありませんか」とか聞かれちゃうのかも。どうしよう。「女性のサウナをもっと熱くしてください!」とか「アメニティを充実させてください!」とか、思ってもいないことを言ってしまいそうな自分が怖い。熱いサウナが好きではありますが、細かいこだわりはありません。そもそもサ室に入って「ここは90度か」と思っていても、12分計を見て「8分経ったな」とか考えているうちに、サ室が90度だったのか80度だったのか分からなくなります。さらに水風呂に入って「ここは15度か〜」なんて思っていたら、前の二つの数字は二度と思い出せません。私がしっかり覚えていることと言ったら、そこにいたお客さんやスタッフのことだけ。果たしてこんな私がサウナー代表で大丈夫だろうか。誰も会議だなんて言ってないのに、妄想はどんどん広がります。そして元山さんがそっとフォローを外していく図が目に浮かんできて、終了。
もう寝よう。
そして迎えた当日。快晴です。
約束は11時。10分前に着いたら、まだおふろの国は開店前でした。玄関前の椅子には数人のお客さんが待っています。この中に元山さんがいたりして・・・と探していたら、後ろから「ねえ」と話しかけられました。はっとして振り返るとおじさんが立っていました。「ねえ、今何時かな」「10時50分です」それだけでした。普通のおじさんでした。
中では朝礼が始まっています。見たい。そういうのを猛烈に見たくなる性分なのです。でも見えない。横から下から覗き込んでいる私。傍から見たら、どんだけ開店が待ちきれないんだよという感じだったと思います。ようやくドアが開きました。券売機に進むお客さんを横目に、私は店長の林さんを探しました。見つからないので近くにいたスタッフの方に声をかけました。「11時に林店長にお会いする約束なのですが」と言ったら「あ!」とおっしゃるので、これはもしかして、私のことをなにわ健康ランドさんと間違えているのかもしれぬと思い、「サウナのサチコと申します」と付け加えました。「ああ・・・サチコさんね」知っているのかいないのか絶妙な笑顔が返ってきました。するとちょうど林さんが出てきて無事にご挨拶。程なくしてなにわ健康ランドさんも到着しました。あれ? 二人いる。男性と女性。男性を見て「元山さんて想像していたより若いな〜」と思った瞬間、隣の若くて可愛い女性と目が合いました。
「サチコさんですか」キラキラした目で私を見つめています。
「え。もしかして元山さん、ですか・・・?」
おじさんじゃなかった。男性ですらなかった。貴重な女性フォロワーでした。
しかもこの、何だろう。ここ数年、目にしたことのないような透明感。体臭とか絶対なさそうな感じ。この人が元山さん。この人が私のファン。にわかには信じがたいことでした。
「アイドルですね〜」
林店長が元山さんに言いました。それ、私にも言ってたよ。いや私には「元アイドル」だったか。しかし見れば見るほど本当に可愛い人です。確かにこれだけ可愛かったらお店のアイドルだろうな。いやいや、アイドルとかそんな裏でお金が絡んでそうな嫌らしい感じじゃなくて・・・妖精! そう、妖精です。
ロッカーバンドを持った妖精。背中についているのは羽ではなく、ロウリュのうちわです。その妖精の横に立っていたのはピーターパン、じゃなくて社長でした。岩本社長です。え、社長?
妖精と社長と店長と粘土サウナー。何の集まりでしょう。おふろの国の食堂で、妖精が私のことを見ています。ここは森の中? こういう時決まって私は、自分がひどく汚い生き物に思えてしまうんです。どうかその魔法で私を消していただきたい。妖精、じゃなくて元山さんは赤ちゃんみたいな綺麗な肌をしています。サウナ入ってたら普通はもっとカッサカサやで。髪の毛もツヤツヤです。サウナ入ってたら普通はもっとバッサバサやで。心の中の言葉が関西になってきました。関東の人間が下手な関西弁を口にしたら、一番嫌われるっていうから気をつけないと。
ホメ上手、話し上手の林店長が、次々に元山さんや岩本社長に質問しています。大きな臼に真っ白い餅が次々に投げ込まれていく感じ。それを社長が杵でどんどんついていきます。すると元山さんがいい感じで餅をひっくり返していく。どんどん美味しそうな餅・・・いえ、面白い話が出来上がっていって、私は指をくわえてその様子を見てるだけ。すごいな。お客さん相手の仕事をしている人たちってどうしてこんなに面白いんだろう。いやいやせっかく参加しているのだから私も横から「よっ」とか「はっ」とか合の手ぐらい入れなきゃと思うんですが、うまく入らない。余計なことはしなくていいから黙っとけって自分でも思うんですけど、参加したくなる話なんですよ〜。
岩本社長はこれまで、SNSでの顔出しをNGにしていたそうです。林店長は「もったいない。顔を出して発信した方がいいですよ」と言ってました。私もそう思う。じゃ、顔出ししましょうか。粘土で。
業者さんではありません。岩本社長です。
そもそもなんでこんな格好をされているのかというと、社長は大工のように棚を作り、電気屋のように配線を操り、配管の美しさにもこだわるという方だと伺ったので。いちいち業者を呼び出さなくても自分で修理できる社長って、なんて素晴らしいの! しかも若い。私の粘土力が低いせいで老けて見えてしまうのが申し訳ない。社長、早く顔出ししてください。
岩本社長はとても穏やかな方ですが、話している内容は熱い。これからどうやってなにわ健康ランドを盛り上げていくのか、その意欲と優しさとアイデアに溢れています。スタッフやお客さんのことも大事にされていることがお話からよくわかります。一つひとつのエピソードも面白すぎる。ここに書いてしまいたい。でも個人情報もあるしなー。では大丈夫そうなものを一つだけ。
「〇〇を持ち帰らないでください」
たまに温浴施設で見るこの貼り紙。〇〇に入るのはトイレットペーパーだったり、アメニティだったりしますが。これを目にするたび、本当にそんな人がいるのかと疑問でした。しかしなにわ健康ランドさんでは、あの派手な館内着を持ち帰る人がいるそうです。いえ、持ち帰るのではなく着たまま帰るそうです。そしてまた後日、館内着を着てお店にやってくる(部活かっ)。その他にもサ室で熱せられた石のトントゥに水をかけまくって、持ち帰ろうとする人がいた話には唖然としました。「火傷したんじゃないかと心配になりました」って元山さん。いやそこ? そのお客さん、結局トントゥを持ち帰ることができず、床に転がしたまま帰られたそうです。おふろの国でもそういうことはあるようで、お店の観葉植物を持ち帰ろうとする人に林店長が、「どうされました?」と話しかけて止めたこともあったとか。次々出てくるこうした内輪の話が、新鮮で楽しくてたまりません。お客さんだけでなく、お店のスタッフの話なども聞くことができました。私のテンションは上がるばかり。その一方で、持参した粘土がそろそろ気になってきました。どのタイミングでこれを出せばいいんだろう。せっかく面白い話で盛り上がっているのに。もう、このまま持ち帰ってしまおうか。でもそれじゃあ、何のために私がここにいるのかわからない。
「なにわ健康ランドさんのキャラクターって、リスですか? ビーバーですか?」
唐突に岩本社長に尋ねてみました。この流れでリスの粘土を出そうという作戦です。すると社長が答えました。
「ビーバーです」
え。リスなのかビーバーなのかと自分で聞いておいて、ビーバーという答えが返ってくることをまったく予想していなかった・・・。やらかした。
社長は「よくリスと間違えられるんです」と言いながら、なにわ健康ランドのキャクターであるビーバーへの愛を語っていらっしゃる。後で聞いたら社長はお客様から「ビバの助」と呼ばれているとか。どうするサチコ。いや出さない訳にはいかないでしょう。
「リスで作ってまいりました」
尻尾の大きいビーバーをしずしずと出しました。元山さんが感動しています。リスなのに。雑なのに。そのまま百合子も出しました。「なにわ健康ランドの館内着を着ています。おばちゃんがよくやるように、足にロッカーバンドをつけています」と面白ポイントを自分で先に説明するという、一番やっちゃいけないことまでしました。
元山さんがずっしり重い百合子を手にとって、手にとって・・・泣いていました。綺麗な目から涙が本当に流れているのを見て私、混乱しました。まさか私の粘土を見て、泣くほど喜んでくれる人がいるなんて。とうとうサチコもそこまで来たか、などという感慨に浸ることもなく、私はただただ驚いていました。この人はどれだけ素直で、優しい人なのかと。現実社会でこんな綺麗な心の妖精が生きていけるのか。温浴施設ならそれが可能なのでしょうか。
元山さんがなぜサウナに入るようになったのか、なぜ温浴施設で働くようになったのか聞いてみたくなりました。サウナに一人で行く人は、必ず何かを抱えている人だという私の勝手な思い込みを、この人が打ち破ってくれるかもしれない。あるいは妖精のような姿とは裏腹に、どす黒い過去を持っていたとしてもそれはそれで惹かれます。でも聞けませんでした。自分の中で大事だと思ったことは、いつも聞けずに終わるんです。なんでかな。
「私も粘土人形を作っているんですけど、とてもここではお見せできません」と元山さん。元山さんが作った「えっちゃん」という粘土人形は、インスタですでに知っていました。私が絶対に作れない優しい顔と、しっかりした手足が特徴です。実際に見せて欲しいと思いました。でも散々私の粘土を褒められたこのタイミングで、元山さんの粘土を見せてもらったとしたらどうだろう。私がいくら心から素晴らしいと思って褒めても、なんかわざとらしいし、上からでイヤラシイ感じになるよな〜などと思ってしまう。あぁもう、そういうことを考える自分が一番イヤラシイ。
「いつも粘土人形のこの関節がおかしいとか、ダメ出しされるんです」と元山さんが岩本社長を見ています。社長は学生の時に粘土を学んでいたというようなこと(ショックでよく覚えていない)を聞いて、固まりました私。自慢げにテーブルに広げた私のこの粘土たちも、社長から見たら鼻で笑っちゃうような出来なのでは。大事そうにプチプチに包んで、ラルフローレンの紙袋なんかに入れて来た自分が恥ずかしい。やっぱり魔法で消してください。
「お昼、召し上がりませんか」
林店長はいつもタイミングがいい。やったー! おふろの国のご飯、唐揚げ定食をご馳走になりました。オールフリーとトマトもつけてくださいました。見てください、このボリューム。珍しく手をつける前に撮りましたよ。オールフリーは見切れてるけど。
さらにiPhone6なので昭和感は出ても、シズル感は出ません。
サクサクホクホクジューシーな唐揚げ。第1回の記事ではオールフリーのおつまみとして単品でいただきましたが、やっぱり定食だな。ご飯にすごく合う。
最近は母と二人きりで、横に並んで食事をすることが多かったので、久しぶりに人と向き合って人の顔を見て食べました。マスクをつけたり外したりの手間はありますが、それでも誰かと食事をするということがこんなに楽しいなんて。いつもは一人になりたくてサウナに行ってる私ですが、サ飯だけは誰かと食べたい。心からそう思いました。
その後はおふろの国のケアケアを見学しました。神奈川なのに東京タワーの見えるネオンの看板やら、歌謡ショーをここで行うためのミラーボールやら。常識を覆すというのでしょうか、常識はあってもそれに囚われないのが、多くの熱波師を生んだおふろの国です。同じことをしていたら、同じまま。そのままジリジリ落ちていくこともあるでしょう。動くことでしか変わることはできないし、上がることもありません。なにわ健康ランドの岩本社長も、おふろの国の林店長も、次々にアイデアが出てくる。これをやったら面白そうだと一本の幹を示せば、そこから二人で枝葉を広げて行く。こんな花が咲きそうだと想像する。そのためには誰が必要で、何が必要か。大変そうなことを楽しそうに話しています。元山さんは社長の話したことを記憶し、頭の中で整理している。あとで社長が何を言ったか忘れてしまっても、元山さんが覚えていて常にサポートしているそうです。アイデアに溢れている人、能力のある人、常にポジティブな人、私はそういう人たちを目の前にすると眩しくて、自分がどんどんどんどん後ろに下がっていくのが分かります。林店長の声が遠くに聞こえる。いつの間にか私は、自分の横で黙々と作業をしているスタッフの方の手元を見ていました。
ケアケアで使用するタオルを、体全体を使って固く巻いています。巻いて巻いて小さな枕のような形が出来上がると、最後にはみ出したタオルの端を中に織り込んで行く。その断面はまるで大輪の花のようで、でも爪の先すら入る隙のない、決して崩れることのない力強さがあります。初めから見たい。もう一本巻いてくれないかなと期待しましたが、どうやらそれが最後の一本のようでした。同じ大きさ、同じ花が何本もベッドの足下にしっかりと立って並んでいます。おそらく毎日、この作業を当たり前のように繰り返していらっしゃるのでしょう。ご自分の納得のいく仕事が、お客様のためでもある。私にはそれがとても格好良く見えました。そして私はここにいる温浴施設の皆さんの作ったサウナに、蒸され癒され、虜になっていくんだな。そう思いました。でも今、ここにいる私はお客さんじゃない。
私は一体、サウナで何がしたいんだろう。
岩本社長と元山さんを玄関で見送りました。林店長と一緒に頭を下げると、いつのまにか私もおふろの国のスタッフになった気分です。いやいやこれから私は林さんに話があるんです。5月におふろの国で行われる文化祭。そこに私の粘土も出品させてもらうことになりました。その相談です。自分はどんな風に出店したいのか、それを具体的に説明したい。でもこの日まで私は何のアイデアも浮かびませんでした。
「君は何がしたいのか」
シナリオを学んでいる時、制作会社からこの質問を何度もされました。つまり何度も聞かれるくらい、私のやりたいことっていつも漠然としてるんです。たとえ頑張って企画を提案したとしても、「普通だね」と一蹴されてしまう。どうしよう。アイデアマンの林店長を前にして浮かんできたのは・・・さっきのタオルでした。私は一本のタオルをしっかりと巻いて巻いて、自分が納得できる面白い花を作りたい。お客さんにそれを手に取ってもらって、ちょっとでも笑ってもらいたい。初めは売れることより、自分を知ってもらう機会にしよう。テーブルに粘土を並べるだけでは、小さくて人の目に止まらない。大きなポスターを作ろう。サウナのサチコのネガティブな世界をわかってくれる人に、私の情けない顔を描いてもらおう。後ろにはTシャツも作って飾りたい。私自身がサウナの後に着たいTシャツ、それを作ろう。高校生の文化祭みたいなよくあるアイデアしか浮かばないけれど、これが私のやりたいことだと思いました。「好きなものだけ作る」。売るとなるとそれを貫くのは難しい。でも私はサウナに行くようになってから、自分に正直に生きると決めました。
「好き」ということを基準にすると私は、行動する時にブレないんです。
一応、他にはどんな方が出店される予定なのか、林さんに聞いてみました。個性的な出品者の話に、固く巻いたはずのタオルが緩みそうになりました。思わず後ろに一歩下がる私。そんな私に、林さんが言ってくれました。「粘土でサウナー作ってる人なんていないよ」と。さらに「サチコさんは、人と違うところばかり見ている」と。また林さんのホメ上手が始まった。でもいつもタイミングがいいから、私はすぐに乗せられるんです。「じゃあTシャツの代金も出してもらえますか?」「ダメに決まってるでしょ」
そうですか。やはり。
家に帰ってなにわ健康ランドさんのインスタを見たら、「草加健康センターのSSKさんが4月11日、なに健にくる」と書かれているじゃありませんか。今後はロウリュウ姉妹も来るとか。私の大好きな厚木のロウリュウ姉妹まで・・・。熱い。そして動きが早い。なにわ健康ランドさんに今のうちに会っておいてよかった。まだサウナのサチコごときに会おうと思ってくださるうちに、会っておいてよかった。
『なに健は熱いうちに打て!』です。
大阪に帰った元山さんは、早速お店に私の粘土を飾ってくださいました。
コメントまでつけて、私のインスタやnoteまで宣伝してくださっています。向かって一番右にいるのは元山さんが作った「えっちゃん」です。旅の途中で左腕を骨折した?
私のようなちっぽけな粘土サウナーを大事にしてくださった、なにわ健康ランド湯〜トピアさんに心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
5月17日月曜日。おふろの国で、熱波甲子園の後に開かれる「ハッピーサウナ文化祭」。もしお時間がありましたらぜひいらしてください。これまでインスタやnoteにあげて来たサチコの粘土サウナーが、数百円で買えますよ(まだ値段決めてない)。もちろん私が手売りします。そして私のポスターを描いてくださるのは、サウナーの間ではちょっと有名な「おすじ」さんです。私に最初にサウナを教えてくれた師匠でもあります(かなり自慢)。Twitterやサウナイキタイに登録されている関東圏の方は、ご存じの方も多いのではないでしょうか。
これ、私だそうです。寂しそうで情けない微妙な表情。自分の顔なのに何度見ても笑ってしまう。ここからどんなポスターになっていくのか楽しみです。間に合えば、おすじTシャツも作って売りますぜ。限定20枚。ほら、これでだいぶ来てくれる人が増えたでしょ。
私はいつも、誰かに助けられ、支えられて生きてます。
長い文章、今日も読んでくださってありがとうございました。
それではまた。