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【サウナのサチコ 裸の粘土サウナー/第4回】そういえばロウリュ

サウナのサチコ

Amazonがやたらと「自己肯定感を上げる本」ばかり勧めて来るなぁと思い始めたこの4月。
「ちょっと薬を増やしましょうか」と担当医に言われた。バイトにもちゃんと行ってるし、粘土作ったり超長い記事も書いたりしてるのに(医者には話してないけど)どうして。なんでまた薬を増やすんですか、先生。
「サチコさん、何かしていないと落ち着かなくてソワソワするんでしょ。その焦燥感を抑えるためです。ゆっくり心と体を休ませるためです」
初めの頃は薬に抵抗していたけれど、最近では医者に言われた通り飲むことにしている。人は病気を否認しているうちは改善せず、それを受け入れることによって大きく前進すると本で読んだから。私は専門家の話や本に書かれていることばかり信じる傾向がある。だから担当医の言うことも信じて受容している。それなのに「サチコさんの場合、逆に自分がないのが問題です。非常に危うさを感じる」と医者は言う。危うさって何。私にだって自分くらいある。例えば裸の粘土サウナーは、人に勧められて作り始めたわけじゃない。そんなの勧められたら怪しすぎて断っていた。これは明らかに私の意思だ。

医者の話を黙って聞いていたらどんどん薬が増えそうなので、診察室のふっかふかのソファから身を乗り出して聞いてみた。「先生。薬の他にその焦燥感とやらを抑える方法ってないんですか?」行動療法ってものがあるでしょと言いたかったが、偉そうなので柔らかい表現にしてみた。すると医者は「前にも言いましたけど、マインドフルネスですね。瞑想」と笑顔で答えた。しまった。すっかり忘れていた。「5秒吸って15秒かけて吐く。深い呼吸を繰り返してください。初めは雑念にとらわれるけれど、そのうち呼吸だけに集中できるようになります。どこでもできますから是非試してみてください」

家に帰って、新しい薬を眺めた。眺めていたって減るわけでもないのに。
確かに私は休むことが下手だ。休んでいるつもりでも、ちっとも心は休まっていない。それは睡眠も同じ。子どもの頃から眠りが浅く、変な夢ばかりみていた。それも同じ夢をよく見た。小学生の頃は丘を駆け上り、足に力を入れて空を飛ぼうとする夢。一度も地面から足が離れることはなかった。思春期からは終電に乗り遅れそうになり焦って家に帰ろうとしている夢。これは随分長い間、大人になってもかなり見ていたと思う。他にも銀行強盗に出会って「二重アゴの奴だけ手を挙げろ」と言われた夢を見たこともある。そして去年の春にはとうとう、自分が知らない男に刃物で刺される夢を3回続けて見た。ほとんど眠れなくなった。さすがにこれはまずいと思って病院に行った。すると医者(さっきの担当医)はふんふんと私の話を聞いてから、夢のことには一切突っ込まず、「もっと前から苦しかったんじゃありませんか。おそらく1年以上」と私の顔を見た。1年前というと2019年の春頃かとぼんやり計算してみたが、思い当たる節はなかった。じゃあもっと前か。でもどこまでが普通で、どこから苦しかったのか、自分ではもうよく分からなかった。考えようとするとそこで思考が止まってしまう。そう正直に言うと、医者は深刻そうな顔をした。

サウナには病院に行く前から、つまり恐ろしい夢を見る前から行き始めていた。なんとなく一人になりたくて仕方がなかったから。別にサウナでなくても良かったのだが、実際に探してみると案外一人きりになれる所って少ないと知った。自宅はもちろんのこと、カフェでも人の話が耳に入ってきてしまう。カラオケボックスにでも行ってみようかと思ったが、マイクを前にして自分と向き合うことなどできない。じゃあこの際歌って発散すればいいじゃないかと言われるかもしれないが、とてもそんな気分じゃなかった。公園に行っても日光アレルギーがあるのでうっかりすると首から胸にかけて真っ赤になってしまう。だからと言って雨の日に一人でベンチに座っていたら怖い。結局行き着いたのがサウナだった。突然湧いて来たわけではなく、頭の片隅にはいつもあった。信頼しているおすじさんが、サウナはいいと常々言っていたから。あ、おすじさんについては第3回を読んでね。

初めの頃はサウナに行ってもどこか落ち着かなかった。どうやって入ったらいいのか分からないというのもあるけど、何より早く帰らなくちゃ、早く帰ってあれをしなきゃこれをしなきゃと、どうしてもそんなことが頭の中をチラつく。皆が「ととのう〜」などと言って気持ち良さそうにしている意味がまったくわからない。でもその「ととのう」のを体験してみたい。「あぁ、気持ちいい〜」って心底解放されてみたい。それはきっと一度や二度行ったくらいでは分からないのだろう。それじゃ、と色々なサウナに行ってみることにした。埼玉のサウナに限定したのは、自宅から近いところの方が楽だろうという気持ちから。今思えば、自分の体力が日に日に落ちていくのを感じていたのもあったと思う。ただ、埼玉と言っても自宅に近すぎる所は自然と避けていた。サウナは日常の延長でありながら、非日常であって欲しかったから。自分と静かに向き合うのに、見たことのある風景や思い出は邪魔でしかなかった。

しかし何度サウナに行っても、まったくととのえない。noteに綴ったサ活記事はどんどん増えていく。読者に飽きられないうちに、ここらで「ととのった」ことにしてしまおうかと黒い自分が目の前をよぎることもあった。でもnoteに嘘は書かないと決めていたし公言もしていた。私は何でととのえないのだろう。そうして温浴施設をさまよっているうちに前述した通り、病院に行くことになってしまった。さらにその1か月後にはまったく食べられなくなって「今から家に帰って何でもいいから食べるか、それともこのまま入院するか」と医者に言われて「食べます」と言って家に戻った。パンだのアイスだの無理やり口に押し込んで布団に入った。でも布団の中で考えるのはサウナのことばかり。薬で眠って目が覚めると、スマホを握る。インスタのフォロワーさんのサ活投稿をぼんやり見て疲れて眠る。そんな毎日を繰り返した。そして医者の許可も得ず、2週間ちょっとでサ活を再開してしまった。バイトも同時に復帰した。そのバイトの出張で大阪に行った時、タテバというサウナに立ち寄った。そこで私は初めて「ととのった」と実感することになる。初めてそこで心から解放されるような気分を味わったのだ。「埼玉でととのうはずが、結局大阪でととのってしまいました」と正直にnoteやインスタのフォロワーさんに伝えたら、逆にウケた。そして皮肉なことにその記念すべき「ととのい」の日は、私の誕生日だった。タテバからビジネスホテルへ向かう夜道を半分スキップしながら歩いた。ホテルに戻ってこの嬉しさを報告したくて親しい友人二人に電話した。「初めてととのったよ」ということ以外、どうでもいい話をだらだらと聞いてもらった。どうでもいい話をしているなと自分でも思いながら、なかなか電話を切ることができなかった。二人ともそんな私の長話に最後まで付き合ってくれた。その夜は何も夢を見ずに、朝まで眠った。

この経験から私は、自分が家から離れれば離れるほど自由になれる、体が休まるのだということを知った。そしてそういう自分を許すこと、認めることができないまま、心の病は良くなったり悪くなったりを繰り返して今に至っている。

はい。長く暗い前置きになりました。まあ、いつもの通りですが(ここから文体が常体から敬体に変わります)。そんな風にして私の薬がまた増えてしまった、この4月。
熱波師の井上勝正さんと宮川はなこさんが、埼玉の温浴施設に来ることを知りました。場所は「かすかべ湯元温泉」。このポスターの左下の方にちらっと書いてあります。

サウナのサチコ

こちらは私の日常のど真ん中にある温浴施設であり、これまでできるだけ避けてきた場所の一つです。でも井上さんとはなこさんには会いたい。特にはなこさんの熱波を体感したい。おふろの国に行けばそれは叶うのだけれど、今の自分の体調やコロナ禍であることを考えると、片道2時間かけて神奈川に行くことは難しい。しゃーない、かすかべ湯元温泉に行こう(大変失礼な言い方で申し訳ありません)。とにかくそう決めました。

宮川はなこさんとは、偶然の出会いを過去に経験しています。サウナ錦糸町という男性専用サウナのレディースデイで。サ室が120度あることで有名な所ですが、屋上にも小屋のようなサ室があり、そこで5人程度がセルフロウリュを楽しめるというのも魅力の一つです。もちろん屋上で水風呂も外気浴も、滝にも打たれることができます。私もその小屋に入りましたが、人の出入りが頻繁なせいかなかなか温度が上がりません。すると中にいた一人の女性が立ち上がり、持っていたフェイスタオルを振り始めました。たちまちサ室は熱くなり、ほんの数十センチのところで浴びる彼女の熱波は最高でした。プロサウナーかな、すごいなぁと私は感心していましたが、あとでそれが熱波師の宮川はなこさんだったと聞いて驚きました。調子に乗ってそのあと自分も扇いだりしなくてよかったと思いました。その時のことはnoteに書き、はなこさんの粘土も作っています。のちにTwitterで、はなこさんが私の粘土を取り上げてくださったことを聞いて、嬉しくなりました。あ、そのお礼を直接言うの忘れてた。はなこさん、その節はありがとうございました。

そしてその偶然の他にももう一つ、私にははなこさんに会いたい理由がありました。それは月刊サウナラジオというラジオ番組。現役熱波師として活躍されている構成作家の天谷窓大さんが、様々なサウナ関係者をゲストに呼んで対談するそのラジオに、はなこさんの出演した回がありました。そこではなこさんの言っていた言葉が私の胸に刺さりました。
「熱波を始める前にものすごく身も心も底をついていました。熱波に行かないと平日が頑張れる精神状態じゃなかったんです。だから逆に熱波が楽しみだった」
サウナしか行くところがなかった自分と重ねて、私は絶対この人の熱波を受けようと心に誓いました。

4月29日
かすかべ湯元温泉。懐かしい・・・という感慨に浸ることはありません。だって実は少し前に、OFR48のみかんさんがユニットを組んでいるVillyバルコニーのライブを見に来ていたから。かすかべ湯元温泉でライブがあると知った時も「春日部か、やだな〜」と思いながら、結局みかんさんに会いたくてここに来てしまいました。もちろんもっと以前にも何度も来ています。その頃はお風呂目当てでしたが。そんなこんなで体が館内の動線を覚えてしまっているため、迷うことなく靴をしまって広い受付に並びました。すると左手に井上勝正さんの姿が。小さなカメラを構えて、白いワイシャツ姿の男性に質問しながら撮影しています。もうそれだけで嬉しくなってしまい、列から離れて井上さんの元へ走りました。
「井上さん! サチコです」
いつものことですが、私は何度お会いしても必ず「サチコです」と名乗るようにしています。平凡な顔だから。
「お、サチコさん。今日も朝6時から来てるの?」と井上さんに言われて「んなわけないでしょう」と返しながらニヤニヤしてしまう。井上さんが撮影していたのはかすかべ湯元温泉の支配人、清水さんでした。熱波師でもあり「拉麺清水」という名前もお持ちらしい。

サウナのサチコ

マスクをつけていらっしゃったので、似ているのか似ていないのかよく分からなくてすみません。多分似ていると思います。井上さんは私のことを清水支配人に紹介してくださいました。すると支配人は「あぁ、粘土の!」とすでに私を知っているご様子。とうとう埼玉の温浴施設の方にも名前を覚えてもらえるようになったか。サチコ感激。「近いならもっといらしてください」と清水支配人に言われて、苦笑い。「はなこさんの熱波を受けに来ました」と告げると、井上さんは「男性サウナ室にも入って行ったら?」と誘ってくださいました。なんかついでに下ネタも言ってたけど「無理です」とお断りしておきました。本当はちょっと入ってみたかった気持ちもある・・・。そしたらこの記事、かなり違う方向にいってたな。

「はなこさんなら2階の食堂にいらっしゃいます」と支配人が教えてくださいました。「行ってきます!」とここでもすぐに動こうとする私。あ、その前に受付で入館料をお支払いしないと。井上さんに「それじゃ!」と言って列に並び直しました。毎度バタバタしていてごめんなさい。

入館料をお支払いして、その足で2階に駆け上がり食堂をのぞいてみました。が、はなこさんらしき方は見当たらない。もしかしてイメチェンしたかなと、いちいち女性客の前に回って顔を確認しましたが、全員埼玉県民の顔をしています。できることなら熱波の前にご挨拶しておきたかったけど、仕方ないかと諦めかかけたとき、食堂の前を真っ赤なタオルで顔を覆った女性が歩いてくるのが見えました。顔がよく見えなくてもはなこさんに違いありません。「はなこさんですか?!」と一応質問形式で正面から声をかけました。はなこさんは私の顔を見て誰だか思い出そうとしている感じでしたが、「サウナのサチコです」と言ったら一発で粘土の女とわかってくださいました。

一緒に階段を下りながら、以前サウナ錦糸町でお会いしたことや、はなこ粘土人形のことなどをお話ししました。気がつくと敬語を使うのを忘れてしまうほど勝手に打ち解けてしまいました。「それでは後ほど」と言って別れ、私はロウリュを受ける側の準備に入りました。見慣れた脱衣所、左手に行けば水着着用の大きなプールもあります。奥がお風呂。ここの1番の魅力は露天です。まだ新しかった頃とちっとも変わっていません。体を洗っていると「女性サウナでロウリュが始まります」とのアナウンスが流れてきます。お風呂に温まって時計を見るとロウリュ10分前。もうお客さんがソワソワしているのがわかります。5分前になってサ室の前に行くとすでに半分くらい席が埋まっています。すごい・・・。中に入ってみるとそれほどの熱さではなかったため(70度くらい)、入って待つことにしました。間も無くはなこさんも登場して「みなさん、まだ5分ありますよ。大丈夫ですか」と声をかけていました。

時間になり、はなこさんのロウリュが始まりました。井上さんの弟子だけあって、これまで経験した女性熱波師の中で一番口上が長かったです(笑)。でもその口上から私はやられました。まずロウリュ初心者がいるかどうか聞くはなこさん。手を挙げる人が一人だけいました。背筋がまっすぐに伸びているその若い人は、ちょっと緊張しているようにも見えましたが、はなこさんの正面に座っています。初めてのロウリュがはなこさんなんですね。運がいい。

そして注意事項。はなこさんのロウリュでは出入り自由。途中できつくなったら退出して、また戻ってくることもオッケーだそうです。はなこさんは今日初めて使うというアロマ水を熱い石にかけていきます。ikiヒーターの説明もあって楽しい。それから春日部駅のホームでクレヨンしんちゃんのテーマ曲が流れていたことに話は移り、はなこさんはしんちゃんのことが好きだと仰いました。なぜ好きなのか。それは彼が「自由」だから。大人だ子どもだという縛りなどなく、しんちゃんは自由に生きているから。はなこさんはそう言いながら尚もアロマ水をかけ続けます。

熱はどんどん上空に溜まっていきます。私がこれまで受けて来たロウリュは、この高いところに集まった熱をすぐに攪拌して下ろすという流れでした。が、はなこさんは違います。お客さん一人ひとりにタオルを振りながら、そこで初めて熱を下ろしていくのです。

サウナのサチコ

誰だかわからないかもしれませんが、はなこさんの雰囲気だけ掴んでください。
1週目は優しく、2週目、3周目と徐々にタオルの振り方が強くなっていきます。なぜか最初の優しい熱波が一番熱い。「深く息を吸って吐いて。熱を体の中にも入れてください」と、はなこさん。マインドフルネス。医者の言っていた言葉を思い出しました。グレープフルーツの香りと一緒に、熱い空気が体の中に入って行くのがわかります。汗がどっと出てくる。

一人、二人と退出する人に向かって、はなこさんは拍手を送ります。自分を知って決して無理をしない。その見極めができる女性に拍手です。はなこさん、私にはそれができません。気がついたら限界を超えていて貧血になったり、もともと充電がゼロだと気づかずにサ室に入ってしまっていたり。自分を知ることが一番難しい。

はなこさんは一人ひとりに話しかけるように、「女性は誰かのために生きていることが多いですよね。でもここでは自分のことだけ考えてください」と。
はなこさん、私にはそれができません(2回目)。いつも周りのことばかり見てしまう。何度自分に意識を向けようとしてもうまくいかない。気づけば普段の生活もそうです。身近な人がどう思うか、傷つけていないか、困らせていないか、常にそれを考えて押したり引いたりしてしまう。そして我慢が続くと突然水があふれたように自分勝手になる。それを医者は「自分がない。危うい」と言っていたのでしょう。自由に生きられずに苦しいなら、なぜこの場所から抜け出さないのか。爆発する前にどうして休めないのか。一度外に出ても戻って来ることだってできるのに。戻れなかったらそのまま休んでいてもいいのに。

ロウリュが初めてだと言っていた彼女に、はなこさんが「顔色は大丈夫そうですね」と言いながらタオルを振っています。私の顔色はどうなんだろう。自分に何度も聞いてみました。まだ大丈夫なの?と。

2周目が終わる頃、初めて私はロウリュの途中で退出しました。水を飲み、深く呼吸しました。それが自分にとって丁度いいタイミングだったのかどうかは分かりませんが、それでも今ここで出るべきだろうと自分で判断してそれに従いました。次はもっと自分の声がはっきり聞こえるようになりたい。が、しかし。一息ついてサ室に戻ると3周目がすでに終わっていたという・・・(涙)。一番強い熱波、逃してしもた。

ロウリュが終わり、はなこさんに見送られて皆外に出ました。水風呂に入っている時に、はなこさんが帰っていく声が遠くから聞こえて来ました。見送ろうと思ったけど、もうその気力が私には残っていませんでした。

ゆっくりと露天風呂の前にあるととのい椅子に寝転びました。雨が強く降り出したせいか誰もいません。そういえば熱波師検定Bを受検した時も雨が降っていて、真っ赤な顔の私に井上さんが「丁度いい外気浴になる」と言っていたっけ。気持ちいい。全身雨に打たれながら、多分私はこんな顔になっていたんじゃないかな。

サウナのサチコ

はなこさんの真似して白目になってみようとしたけど、実際には寄り目にしかなってなかったと思う。この粘土、はなこさんに似てるな。はなこさんということにしておこう。

どん底で出会ったサウナ。私のどん底は人から見ればすんごく浅いと思うのですが、それでもしんどい。でもしんどくなかったら、こんなにサウナを好きにはならなかったと思います。しんどくなかったら記事も書けなかったし、記事を読んでもらうために粘土も作らなかった。何より井上勝正さんや宮川はなこさん、五塔熱子さんやロウリュウ姉妹にも、私を知ってもらうことはなかったと思います。そしてこんな私にたくさんのフォロワーさんがいることも奇跡です。しかも皆さん、ネガティブな記事ほど面白いと言ってくださる。クオリティが低い粘土だからいいのだと言ってくださる。変わっています。

それでも。
今日のこの記事、書くのどうしようかなとちょっと迷いました。特に前半。読んでドン引きする人もいるんじゃないかと。でも私のように外からでは明るい人間にしか見えないのに、中身は真っ黒・・・じゃなかった真っ暗な人もいる。私のようにどん底でサウナに来ている人もいる。自分が傷ついていることにすら気づかずに懸命に生きている人もいる。苦しい人はきっとたくさんいるはずなんです。サ室の中に。もちろんこの記事でその人たちを救おうとかいう気持ちはありません。そんな力があったら粘土なんかこねてないで作家になります。今日の私は熱波師について、ロウリュについて書きたかったんです。ちっぽけで自己否定の激しい一人のサウナーが、サウナや熱波師の方々を通して自分と向き合い、自分がたった一人しかいない存在なのだと少しずつ気づき始めた。サウナにはそういう力があることを、熱波師にもそういう力があることを書きたかったんです。どうしても。長すぎたけど。
そして私のようなサウナーがたくさんいることを、はなこさんは知っている。そう感じました。

どん底で熱波しかなかったというはなこさんは今、クレヨンしんちゃんのように自由になれたのでしょうか。私も自由になりたい。自分に正直に生きたい。そうした生き方は決して人を傷つけることとは違うはず。むしろ苦しいと思う気持ちに蓋をして、自分に嘘をついて生きてきたこれまでの私の方が、そばにいてくれた大事な人をたくさん苦しめたり傷つけたりしてきました。私はサウナと出会い、ようやく心から人に感謝できるようになりました。自分のことも以前より好きになってきました。この年にしては結構イケてるんじゃないかと勘違いする日も出てきました。あ、マインドフルネスも真面目にやるようになりました。仲良くしてもらっているフォロワーさんのインスタライブで、エクササイズもやったりして体も少しずつ動かし始めました。何より、人に愛されていると感じるようになりました。

それでもまだ。
何を握りしめているんだろう。なんでこんなに苦しいんだろう。
できることは全部やって元気になって、早くサウナに行きたい。「ま、いっか」って、握りしめている拳をサ室で広げたい。今はそれだけです。

今回も記事を無事に書けてよかった。
ここまで読んでくださった皆さんに心から感謝しつつ・・・。
それではまた。

 


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[サウナのサチコ プロフィール]

埼玉県在住。2020年1月よりサ活を始める。
「ととのった!」と実感するまで半年かかった不器用サウナー。
役に立たないサウナ情報(主にお客さんの話)と自作の紙粘土サウナーをnoteとインスタに投稿中。