【京が島天然温泉湯都里 関ラリ@勝三の サウナヨモヤマバナシ/第2回】私をサウナに連れてって
9月も中旬が過ぎまして思うことは、今年の夏は外気温と室内温の温度差だけで、ととのっちまうんじゃないって、サウナ要らずになりそうでしたが
この『日刊サウナ』をご覧なっている方々は、やはり単なる『サウナ好き』で留まらず、『コアなサウナー』な方々なんでしょうから、今年くらい暑い日が続いていたほうが、よりサウナが気持ち良く感じますよね。
ここ数年より、おじさんたちのオアシスでもあったサウナでしたが、若い方や女性のお客様も大変増えているのは皆さんご存知の通りです。
こういうのは業界の裾野が広がりまして、喜ばしいことなんですが、とにかくいろんな方がいらっしゃいますから、いろんなことがあるんです。
まあとりあえず、『ルール』『マナー』『常識』を理解していただき、皆さんで楽しんで頂ければと思っております。
まあお堅い話で始まりましたが、仲良くして頂ければ結構でございます。
でも、距離はとって、会話は控えめにしなくちゃならないんですけどね。
サウナに来られる方々は、サウナを楽しむ以外にもいろんな目的を持って来られます。
それこそ最近はやりにくくなりましたけどサウナ仲間との会話やコミュニケーションだったり、または『サウナ飯』や『熟成肉』ですかね。
江戸時代の銭湯は関東では『湯屋』という呼び名で、この湯屋の2階っていうのがコミュニケーションの場でありまして、簡単な茶菓子があったり、囲碁や将棋に興じるというのが、乙な風呂上りな嗜みってことでございました。
旦那:いやあこないだは変な講釈を聞かされちまったな。ああいうのをちっとは仕事の方に向ければなんだがなあ。おっと言ってるそばから、向こうからふらふら歩いてるのは八っつぁんじゃねえか。お~い、八っつぁん。
八 :おっといけねえ、旦那だ。会いたくねえ人に会っちまったよ。ここは気づかねえふりして、くるりとよ 。
旦那:聞こえてるよ。お前は地声がでかいし、すぐ口に出ちまうんだから。何が「くるり」だよ。一周して戻っちまってるじゃねえか。
八 :あれ、旦那ですかい。いやびっくりしたな。こんな遠いとこで会うなんて。さては「コレ」か「ソレ」ですかい?
旦那:下品な指を出すんじゃないよ。「コレ」の小指はわかるけど、なんだよその人差し指の「ソレ」は?両方出してやがって、俺は牛飼いじゃないんだから。
旦那:ここだってそんな遠くじゃあるんめえに。今はお得意さんとこに、お届けした帰りだよ。お前さんこそ、こんなとこでなにしてるんだい?
八 :いやあ、まあ日課というか。行きたくて行きたくて震えちゃうっていうか。
旦那:怖いこと言うね。どうせサウナなんだろ。それにしても俺に会ったら嫌な顔しやがって。
旦那:おい、お前さんに貸した銭なんてなあ、どうせ当てになんてしてねえんだから、次の手間が入った時でかまわねえよ。
八 :次の手間ね。次の手間と。次の手間か。次の手間って。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。・・・・
旦那:やっぱりこいつは怖いね。どこかの14歳みたいだよ。もういいよ。余裕のある時でいいからさ、催促なんかもしないし。
八 :おっ、そうですかい旦那。やっぱり旦那は太っ腹だあ。おいらに余裕があるときなんてあるわけないのにねえ。
旦那:まあた、本音が声に出ちまってるって。
旦那:しかしまあ、そんなにサウナっていいもんかねえ。
八 :あれえ旦那、こないだの話じゃあまだ良さが伝えきれなかったですかい?いいでしょう、おいらもまだまだ言いてえことが山ほどありましたから。
旦那:こりゃあ余計な話ふっちまったな。いいよもう、ご講釈はさあ。お前さんの話じゃ伝わりにくい。
旦那:おし!じゃあ、百聞は意見にしかずだ。おい、八っつぁん。どうせこれからサウナなんだろ。俺も連れていってもらおうじゃねえかい。
八 :えっ!旦那も行くんですかい。サウナですよ。熱いんですよ。水風呂は冷てえんですよ。裸にもなるんですから。
旦那:知ってるよ、そんなこたあ。だいたい最初に誘ったのはお前さんだろ。なんか俺が一緒に行っちゃまずいことでもあるんかい?
八 :まずいってほどのことではねえですけど、最近の流行り病のせいでサウナの方から、大勢で来ないで下さいって言われてましてね。
旦那:大勢って、俺とお前さんの2人だけだったら大丈夫だろ。
八 :その2人だけってのがね。いざ誘ってみたのはいいんですけど男2人でてっというとね、何だかこっぱずかしいやら、落ちつかないやら。ましてや裸になるんですから。
旦那:おいおい裸にこだわるね。お前さんの裸になんか興味なんてないから。どうせ大したもんでもねえくせに。もったいつけるんじゃないよ。
八 :だって旦那はオイラの面倒をよくみてもらって、銭までくれるんですから、なんか下心があるんじゃねえかって勘ぐっちまいますよ。それにそのオイラを見る目つきが・・・ああイヤらしい・・・「もったいつけるな」なんて言われたら・・・あぁぁ・・
旦那:銭をやった覚えはねえよ。へんな妄想もしやがりやがって、おかしな野郎だな。さては下帯ん中になんか隠してんじゃねえだろうな。そしたら奉行所に突き出してやる。
八 :いやいやいや。分かりましたよ旦那。もう観念しましたから。それじゃあ一緒に行くとしましょう。
旦那:何に観念してるんだか分からんけど、やっと一緒に行くになったてえことだな。さてと、向かうとするけど何持ってたらいいんだい?
八 :旦那、何にもいらねえですよ。手ぬぐいやら何やらかんやらと、サウナにはありますから、手ぶらでいいんですよ。股の下だけぶら下げて行けばってことで。
旦那:どこ見て言ってやがるんだ。お前さんの方がよっぽどそのケがあるんじゃねえだろうな。
旦那:まあいいや。手ぶらでいいんじゃ、このまま向かうとするか。おい、そのサウナはどこにあるんだい。連れてっておくれや。
八 :おおっと、旦那。近いです。せめて一間は離れて後ろを歩いて下さいよ。
旦那:こいつはこの後におよんで、まだそんなことを言いやがるのか。
八 :旦那、違いますよ。こりゃ「ソーシャルディスタンス」でやんす。
『新しい生活様式』なんていって世知辛い世の中になってしまいまして、最近では去年の写真なんて見ると『ギョッと』することもよくあります。
男性サウナなんて、汗だくの男衆が肌が合わさんとばかりに、ぎゅっと集まって熱波を待ち受けている姿は、今だったらドン引きでしょうね。
そんな『当たり前の日常』が戻る日はきっとあります。
サウナーはじっと待つのは得意な筈です。
『カチコチ』と秒針を見つめて耐え、その後の水風呂を想像しましょう。
振り幅が大きいほど、気持ちいいことが待っていますから、どうぞ納得がいくまでじらしちゃって下さいって感じですよ。
[関ラリ@勝三 プロフィール]
高崎 京ヶ島天然温泉 湯都里 勤務
CBとして後方で回りを見渡し、全体を統率するはずが自分で決めたがる闘莉王系副支配人
高崎 京ヶ島天然温泉 湯都里
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