【天拝の郷 柴田 健太郎の 九州サウナは熱かです!/第3回】アポロ計画がやってきた
あの湯らっくすを改装したアポロ計画が当店のサウナの改装に!!!!!
副社長からアポロ計画に改装プランの依頼をすると聞いたときは耳をうたがいました。
あのメディテーションサウナやマッドマックスの西の聖地を作り出したのはどのような方々だろうと興味津々でした。
打ち合わせ初日。
アポロ計画の方々は皆さん和やかで素敵な方々で、私の願望サウナを言ってもするりと理解してくれる。
暗くて、天井低くて、テレビが無くて、湿度が高いサウナが良いなんて普段は普通の人に言ったら、「何を言っているの?サウナで暗いと危険だし、天井低いと頭ぶつける、テレビがないと暇だし、湿度が高いと苦しくて不快だよ。」って言われるのが当たり前で、変態扱いされて終わるところが、アポロ計画の方は一発で言いたいことが分かってくれる。
それもそのはずアポロ計画の代表の松山さんは普段サウナハットを持ってサウナに行き、フィンランドにサウナ旅行行っちゃうほどのサウナーでした。
本場での体験から設計を行うのでどのようなサウナが気持ちいいか分かっていて、今あるサウナの現状を分かったうえでどのようにリニューアルすれば最大限に活用できるか的確でした。
以前のサウナは大型のタワーの遠赤サウナで、理想的なサウナを作るには大きすぎそのままでは実現が難しい状況でしたが、アポロ計画から提案されたのはサウナ室を2つに分けるという大胆な提案でした。
上司もこの提案にGoを出してくれて計画は進み、ただ予算と工期と施設の構造上まずは男性サウナのみの改装となりました。
おふろcafé utataneでのメインサウナ室でテレビを消して暗くしたらブーイングがあったというエピソードがあったのをブログを拝見して知っていたので、片方のサウナ室は明るさを残しテレビをつけて昔からの常連の方にも楽しめるように、片方を暗くテレビのないロウリュが楽しめる私の願望が詰まった様なサウナ室にしました。
そこで問題になったのはロウリュ問題!
ロウリュのできるサウナに上司には決定して頂いたのですが、オートロウリュにするかセルフロウリュにするかが問題になりました。
オートロウリュにするとバケット・ラドルがなくとも自動でロウリュされるので手間がかからず、ロウリュし過ぎることなくメンテナンスも比較的に容易だが、時間でロウリュするのでどうしてもお客様がその時間に合わせてサウナに入らなければならない。
セルフロウリュはお客様が自分でロウリュするので時間に惑わされず、サウナ室の湿度の状態に合わせて好みの湿度に調整できる。
しかし電気ヒーターによるセルフロウリュはどうしても自由に水を掛けられるので、ヒーターの石の中にあるエレメント(伝熱管)に水が掛かりやすい為、すぐに劣化して交換しなければならず頻繁にメンテナンスが必要となります。
他の施設もこれを考えどうしてもセルフロウリュは控えており、セルフロウリュをやっている施設でも時間制にしたり、バケット(バケツ)に入っている水の量を制限していたりしているところがほとんどです。
当店の人気は浴場ではなく時間制限のないブッフェレストランです。
ブッフェスタイルのレストランは時間制にしなければ回転率が下がるのですが、お客様に満足していただく為に時間制限を設けませんでした。
お客様に満足して頂くのが一番なのでレストランもサウナも制限を設けず楽しんでいただく為、制限のないセルフロウリュにしようと決まりました。
あともう一つ懸念があり、無知でロウリュし過ぎてアツアツにしてしまうお客様がいるかもしれないと考えました。
しかし最初はどうしても分からず掛け過ぎてしまうでしょうが、日本人なのだからそのうち適量が分かり、ちゃんとサウナリテラシーが作られていくだろうと、だめならそこで対策を打とうと考えセルフロウリュを断行しました。
皆様セルフロウリュでの水の掛け過ぎにはご注意下さい。
アポロ計画との打ち合わせの中でどんどんとアイデアが形になっていきます。
セルフロウリュのできるサウナ室の室内は頭をぶつけないぎりぎりまでイスの座面を高くし蒸気をふんだんに楽しめるように。
その為にストーブは床下に埋め込んだようにして、イスは対面型にしてどの席に座っても楽しめるように、つまりどの席に座ってもサウナの最上段というレイアウトにしました。
これどっかで見たことあるなと思ったら、私のパソコンの背景画にしているヘルシンキの公衆サウナのLÖYLYのサウナ室でした。
フィンランド人はやっぱり偉大です。
テレビを残したサウナ室はテレビが見やすい様にタワー型にしました。
三段タワーなので下の段に座ればゆっくりテレビが見られます。
こちらはストーブからの熱がうまく対流するように天井を斜めにしてストーブから最上段まで一気に上がるようにし、そのあと最上段で下にいくように逆に斜めにしました。
これで無駄なく気持ち良く熱がお客様に届きます。
最高のサウナに打ち合わせのたびに近づいて行きましたが、せっかくなのでこれだけでは満足できませんでした。
遠くからでもサ旅で来たくなるような唯一無二のサウナが作りたかったのです。
次回は唯一無二のご当地サウナが作りたい編です。
[柴田 健太郎 プロフィール]
天拝の郷アシスタントマネージャー