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【天拝の郷 柴田 健太郎の 九州サウナは熱かです!/第7回】津久見とサウナBOX

12月6日に大分県豊後大野市にてサウナ万博が開催されました。県指定有形民俗文化財の辻河原石風呂を今回のみ特別体験出来たり、テントサウナに入った後に川にダイブ出来たりと魅力的なイベントなのですが、残念ながら私は仕事があり行くことが出来ませんでした。

サウナ万博に行った友人達の体験談などを聞いて、一番気になったのは『サウナBOX』というものでした。

柴田 健太郎

LANP豊後大野にリビルドサウナという廃材を使って作った薪ストーブのサウナ小屋があります。他では体験できないセッティング・換気・構造が極上のサウナで、私は去年体験したサウナの中で特別に感動しました。

そのサウナを建築した藥師寺さんが、以前に私の働いている天拝の郷にお越し頂いたときにサウナBOXというものを作って今楽しんでいると仰っていました。

藥師寺さんに連絡をするとふたつ返事で体験させてくれるとのことなので、藥師寺さんの住んでいる大分県津久見市に伺うことにしました。

大分県津久見市は海沿いの町でとても魚が美味しく、石灰石の鉱山がありコンクリート工業が盛んで、町の中に石灰石を運ぶパイプラインが走っています。

その町から山側へ細い道をくねくねと入った山奥に、今回体験させてもらう隠れ場所がありました。誘導して頂きましたが、自分では行けないような奥地でした。

そこに準備万端で用意されていたのはサウナBOX。
サウナBOXとは藥師寺さんが作ったアウトドアモバイルサウナで、テントではなく角材とコンパネを使った木製の移動式サウナです。

柴田 健太郎柴田 健太郎
角材とコンパネはホームセンターで売っている安い木材なので、ビックリする程リーズナブルに制作されています。柱の木材は相欠き継ぎで作っているので、釘などは使わずに組み立てできます。

柴田 健太郎柴田 健太郎

組み立て時間は慣れればストーブを含めても約30分。

コロナ渦の為、個人で所有できるテントサウナやプライベートサウナに注目を帯びている中、テントサウナでは少し物足りないけど、自宅にプライベートサウナを置くのはハードルが高いという方には良さそうなサウナです。(販売はしていませんが)

当日はあいにくの雨でしたが、このサウナBOXはストーブが二台あるので90℃以上にぐんぐん上がります。

柴田 健太郎

壁が木材の為保温性が高く、スタンダードのテントサウナよりかなり大きく室内が広いのですが、温度が上がりやすく温度が下がりにくい特徴があります。

ストーブの一つはノザキ産業のキャンプ用薪ストーブを石が載せられるように改造しているので、高品質で低価格。もう一つはテントサウナのSAVOTTAの旧型の薪ストーブ。

ストーブの反対側の天井にはべニアでアールがつけてあり、蒸気が下りてくるような構造になっています。足元まで蒸気を下ろしたければ、広いのでタオルでアウフグースすることも可能です。

柴田 健太郎

ヴィヒタを用意して頂いていたので、ロウリュすると白樺のいい香りが小屋の中に広がり心がリラックスモード全開、外が寒かっただけに全身がじんわり緩んで、肌から玉のような汗がにじみ出てくる。

柴田 健太郎

しっかりと身体が温まりサウナBOXを出ると、雨の森の中、霧で遠くは霞んで見えない。雨音以外何も聞こえない。サウナの上は雨が蒸発して湯気が立ち、煙突から熱の揺らめきが美しい。

上流の川から引いた水を大きなプールに貯めて頂いていたので、雨で冷えてしまわないうちに頭まで飛び込む。流石に冬の川の水はキンキンで体感では10~12℃くらい。

柴田 健太郎

上着を着てインフィニティチェアに座ると雨音以外は無の世界で、自然と目を閉じて自分の鼓動と血流を感じて、風景と同化するような気分。

モバイルサウナが良いのはその場所その季節その天気で感じるものを変えられることにあると思います。もちろん普段はホームサウナで安定的なサウニングが良いのですが、時間がある時は特別なサウナをすれば人生が豊かになることを感じさせてくれました。

サウナ後に用意してくれていたのは津久見市のご当地サ飯。

津久見は古くから遠洋漁業が盛んで日本有数のマグロの水揚げ量を誇っており、近年は太平洋からの黒潮と瀬戸内海からの海水が流れ込む大分県豊後水道の海でマグロ養殖が盛んな地域です。

サ飯として用意してくれていたのは、マグロバーガーとマグロのりゅうきゅう丼。

柴田 健太郎

美味しそうでマグロバーガーはつい写真を撮り忘れましたが、しっかりと味の付いたマグロとソースとレタスをライ麦のバンズで挟み絶品でぺろりと食べてしましました。サ飯にパンって意外に合うという発見。

りゅうきゅう丼(ひゅうが丼)は大分の郷土料理で、豊富に獲れる地魚を味噌や醤油やみりんと、生姜や葱やゴマで和え寿司飯にのせたものです。
用意してくれたのは、地元で獲れた新鮮なマグロがご飯の上にたっぷりのっておりとても贅沢。

一口頬張れば醤油とわさびでしか生魚を食べていなかったことを後悔させるほどのうまさ。サウナで味覚が敏感になっていなくてもこれは間違いなくおいしい。

今回の用意をしてくれたのは、藥師寺さんと津久見市役所の若い職員の方々でした。

柴田 健太郎

豊後大野のリビルドサウナでサウナに目覚めた津久見市役所の職員が藥師寺さんと出会い、サウナをみんなで楽しんだり、サウナのイベントで地元を盛り上げたりとサウナをきっかけに楽しみながら町おこしを行っています。

市役所の職員と言っても建築部など町おこしとは関係のない部署なのだが、サウナで楽しんでいるうちに、町を盛り上げようという事に至ったそうです。

田舎はどこの地域でも町おこしは課題で、役所の署員はうまくいかず苦悩しているのですが、ここの方々は町おこしを自ら進んで楽しんでしており明るいエネルギーを感じました。

サウナは人間に癒しだけではなく、生きるエネルギーをも与えてくれるそのようなものなのかもしれないです。

津久見の自然と人々に感謝します。
藥師寺さん本当にありがとうございました。


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[柴田 健太郎 プロフィール]

柴田健太郎

 

天拝の郷アシスタントマネージャー

https://tenpainosato.com/

https://twitter.com/saunaguuji